幻想の世界の住人

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再起への道
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「もう、どうでもいいや・・・借金返済もゆっくりでいいや・・・定職なんてつかなくていいや・・・お金が無くてもいいや・・・家庭を持つのはもうんざりだ・・・早く人生終わんないかな・・・」

あの時の僕はこんな思考で日々を怠惰に消化していた。

休日の昼から飲むお酒だけが唯一の癒しだった・・・

そんなある日、母親からlineが来た。

「お誕生日おめでとう!! 東京で元気にしてますか??? たまには連絡ください。」

人の温かい温もりを久し振りに感じた気がした。

気が付けば僕は36歳になっていた・・・

年末年始という日雇い派遣が忙しい時期の到来にうんざりしつつも満員電車に揺られて朝から新しい現場に向かう。

「柿沼と言います。よろしく。」

振り返るとおじいちゃんが立っていた。

「あっ、どうも・・・鉄郎です。よろしくです・・・」っと、だけ告げて作業着に着替えた。

最初の印象はいかにも仕事できなさそうな動きが遅いみすぼらしい人であった。

その日から僕はこの柿沼のおじいちゃんと一緒に仕事をすることとなった。

このおじいちゃんは最初の印象通りに本当に仕事が遅くミスばかりして僕をイラつかせた・・・注意しても言い訳ばっかりで向上心の欠片も見えなかった・・・

何なんだよアイツは!!! 何のために生きてんだよ!!! 何で俺はこんな所でおじいちゃんの相手してんだよ!!! なんなんだよ!!!!!!!!

「パートナーを変えてください! あの人と仕事なんて出来ないですよ!!!」

派遣会社の担当に電話しても相手にされずイライラする毎日だった。

いつのまにか僕は柿沼おじいちゃんに厳しく当たるようになっていた。

ある日、ついに僕は我慢の限界を迎えた。

「 いい加減にしてくださいよ!貴方がいると仕事が終わんないんですよ!!! やる気ないなら帰ってくださいよ!!! 」

僕はイライラする感情を隠すことなくぶつけた。

「 ごめんね、鉄郎君・・・迷惑だよな。 昔から私は・・・何やらせてもダメでさ・・・君はまだ若い、私のようにはなっちゃダメだよ。」

今でも鮮明に覚えている。

柿沼おじいちゃんの最後の言葉を・・・

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