幻想からの脱出

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再起への道
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「 ごめんね、鉄郎君・・・迷惑だよな。 昔から私は・・・何やらせてもダメでさ・・・君はまだ若い、私のようにはなっちゃダメだよ。」

このセリフが頭から離れない。

どんな人生を歩んできたら私のようになっちゃダメだよ・・・なんてセリフが出てくるのだろう・・・どんな想いで僕に告げたのだろうか・・・

柿沼おじいちゃんの人生とは何だったんだろうか・・・

彼が生きた意味とは・・・

その日から何故か眠れない日々が続いた。

別に仲がよかったわけではない、むしろ嫌いの部類の人間だった・・・

が、人の終わりに慣れていなかった。さっきまで話していた人がさよならも言わずにいなくなる・・・喧嘩別れみたいになってしまった事・・・

色々考えたが、彼が生きた証は僕が持っている。「私のようになっちゃダメだよ・・・」このセリフを僕は受け取った。

これが、どうゆう意味かはわからないが・・・

彼には申し訳ないが、僕が彼ぐらいの歳になった時に同じセリフを若手に伝えるような人生は嫌だと心底思えた。

「 俺のようになってみろ! 大丈夫、お前ならできるさ。」

って、言える生き方をしたいと思えた。

全てを失った俺の生きる道にほんの少しだけ光が差し込んだように思えた。

人の縁とは不思議なものだ・・・

こんな奴に教わることなんか何もない!早く辞めてくれねえかな。って、思ってた人が僕が前を向くきっかけをくれるとは・・・

もう、届かないことは承知で彼宛ての返答をここに書いておこうと思う。

貴方の忠告通り僕は貴方とは違う道を歩みます。ゆっくり休んでください。ありがとうございました。

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