終幕は唐突に訪れる

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再起への道
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「 ごめんね、鉄郎君・・・迷惑だよな。 昔から私は・・・何やらせてもダメでさ・・・君はまだ若い、私のようにはなっちゃダメだよ。」

今でも鮮明に覚えている・・・最後の言葉

次の日から柿沼おじいちゃんは現場に来なくなった。

派遣の担当の人に聞いても連絡も何もなく、無断欠勤らしい・・・

柿沼おじいちゃんの代わりの人材が派遣されて僕は安堵していた。やっとまともな人と仕事ができる喜びを噛みしめていた。

残業もなく平和な日々と思われたが・・・会社PHSが唐突に鳴り響いた。

着信相手は派遣の担当だった。

「 お疲れ様です。聞きたいんだけどさ、柿沼おじいちゃんの労働状況を聞きたい。残業とか、過酷な体力仕事とか無かったよね??? 」

意味が分からなかったけど、僕は普通に受け答えした。

「 そうか・・・いや、警察から連絡あって柿沼さんが亡くなったって・・・今、死因調査でウチに聞き取りしててさ。自宅のベットで・・・・・・・・・・・・・・ 」

担当者と話した内容は途切れ途切れでしか思い出せない・・・

柿沼おじいちゃんが・・・死んだ・・・嘘だろ・・・

僕は膝から崩れ落ちた。

仕事終わりに夜の公園で缶ビールを飲んで夜空を眺めた。

仕事辞めてほしいと思っていたけど・・・本当にいなくなってんじゃねえよ・・・

「 ごめんね、鉄郎君・・・迷惑だよな。 昔から私は・・・何やらせてもダメでさ・・・君はまだ若い、私のようにはなっちゃダメだよ。」

このセリフが僕の頭の中から離れない。今も・・・

何やらせても・・・何処へ行っても邪険な扱いをされてきたと思う。

柿沼おじいちゃんの生きた意味とは・・・生きた証とは・・・何だったんだろうか・・・

最後の最後、安らかに逝けただろうか・・・

僕は夜の公園でそんなことを考えていた・・・

私のようになっちゃダメだよ・・・か。

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